プロデューサーノート⑶・交錯する現実と超現実

聖地ポーカーズのプロデューサー酒井りゅうのすけです。
突然ですが僕は、現実と物語の境界線をついつい見落としてしまうような地続きな作品が大好きです。聖地ポーカーズの作品も出来ることならば、そういう形になって欲しいといつも思いながらプロデュースをしています。

秋葉原で営まれるレストランの作品があれば秋葉原で街歩きしながらスピンオフの物語を作ってみたり、ポーカー・テキサスホールデムの大会を中継する作品があれば実際のポーカー大会にレポーターを派遣してみたり。

今回の作品は昭和44年という時代が舞台となっており、現代とのリンクは弱くなってしまっていますが、逆にはっきりと覚えて(知っている)ほど最近でもないという約半世紀前。今回は当時に実際に起こった事件などを作品に多く組み込んで「if歴史物」として歴史と歴史の隙間を埋めて境界線を無くしてしまいたいなと思います。

YouTubeで配信した「本番直前!!見所徹底解説SP!!」でもお伝えしたのですが、実際に起きた事件が多く絡んできます。動画に登場した事件をこちらでもご紹介していきます。

①津山事件
または津山30人殺し事件ともいう、1938年(昭和13年)5月20日から21日にかけて起こった、大量殺人事件。
横溝正史の推理小説「八つ墓村」もこの事件をモデルとしている。

②ばりぼあ丸遭難事件
1969年(昭和44年)1月5日に発生した。大型貨物船が船体を折損して沈没。
船長、乗組員31人が行方不明となった。

③磐光ホテル火災
福島県郡山市熱海町の磐梯熱海温泉に存在したホテル。1969年2月5日にホテル火災が発生し、最終的には、死者31人、負傷者41人、焼損面積15,511m2という大惨事となった。

奇妙な一致のある事件を別の角度から見る事で「HOPELESS」の物語は動き出します。さらには実在の人物に縁のある登場人物なども出てきてより一層と現実と物語の境界線を曖昧にしていきます。

大谷光瑞

①大谷光瑞
浄土真宗の僧。インド・ヨーロッパ諸国を外遊し、また三回にわたる大谷探検隊の派遣により、中国・シルクロードから貴重な仏教資料を日本に持ち帰る。神戸の山奥に『二楽荘』という別荘を建築する。

久原房之助

②久原房之助
日立製作所、日産自動車、日立造船、日本鉱業創立の基盤となった久原鉱業所や久原財閥の総帥として「鉱山王」の異名を取った。第一次世界大戦後の恐慌を機に政界へ進出。「政界の黒幕・フィクサー」と呼ばれた。大谷光瑞から『二楽荘』を買い取る。

歴史を縫いながら物語の裏に存在する数々の真実。
そして忍び寄る狂気と絶望。

現実に起きた事件、実在した人物、現存する数々の建造物、昭和44年で起きるHOPELESSの物語。これはもしかしたら虚構ではなく現実の物語なのかもしれない…と僕と同じように皆さんにも感じてもらえたら最高です。

プロデューサー 酒井りゅうのすけ