作・演出の榎原伊知良さんと「HOPELESS」の演出プランについてのミーティングを行いました。この日の議題は「絶望に至る演出」についてです。
(この書き出しは前作「舞台版ハコオンナ」にも同じ書き出しの記事があった事を思い出します。)
今回の「HOPELESS」で、とあるクライマックスの重要なシーンの中にある”絶望”をどのレベルでお届けするかを最終決定する為のミーティングでした。
「HOPELESS」というタイトルの通り“希望を失う”つまり“絶望”を一つのキーワードとして描いていただいている物語ではあります。
当然の事ながらすでにシナリオは完成しており、稽古場でも立ち稽古〜立ち稽古へと進んでおります。
そんな中でもまだまだ見せ方の部分で工夫をする事でシーンの色合いは大きく変わっていきます。
結論から言うと、極力はっきりわかりやすいコントラストをつけて、
「見ている方に違和感、狂気、そして絶望感をお届けする。」というコンセプトにたどり着きました。
クトゥルフ神話という作品群の中にとても重要なファクターとして、理解を超える存在を目にした際にパニックを起こし処理落ちしてしまった人が狂気に落ちるという様な描写があります。この狂気堕ちこそがこの作品の見どころの一つになるのではないかと思っております。
狂気に堕ちていくキャラクターとその周りの関係性を浮き彫りにするシーン演出に強いコントラストをつけた事で、それを目撃されるお客様自体をも“絶望”へと導く強烈なシーンになるかと思います。
全てのキャラクターがハッピーエンドを迎えられる物語ではない事はタイトル「HOPELESS」が語る通りですが、物語を見ていただく上で深い絶望感も一つの体験価値としてお届けできるエンターテインメント作品に仕上がっていくかと思います。
人の狂気が招く、切なく辛い絶望感を是非味わいに劇場にいらしてください。
プロデューサー 酒井りゅうのすけ